戦時色

先日お客様からご注文があり、お宅へ伺うと、ちょうど男物のきものを出しておられた。

そして、その中には何枚かの男襦袢があったが、「父の長襦袢ですがこんな珍しい物が

あるんですよ」と、そのうちの一枚を見せていただいた。畳の上に広げられたその長襦袢は、

鉄色の地で、後身頃全体にたくさんの柄が重なって染められていた。


しかし、それは今までに見たこともない柄だった。一体これは何の柄だろうとよく見ると、

新聞の戦況についてのコラム、銃剣、ヘルメット、ミサイル、戦車等、戦争にまつわる

いろんな物が所狭しと染められていた。


戦時中の品物であることはすぐ分かったが、戦争というものは、こんな所にまで及んで

来るものだろうか。戦争を知らない世代の自分ではあるが、「戦時色」という言葉が

あるように、戦争は、人々の精神のみならず、あらゆるものにまでその影響を及ぼしていたことを、あらためて知った。