私の不器用は一体どこまで続く? 

今日もやってしまった。自分のドンくささをまた悔いる結果となった。商売柄、お客様のお宅で、仕事が終わった後にお茶とお菓子をいただくことがある。それもとても珍しい和菓子だとかケーキなどが多い。

今日もとてもおいしそうな生クリームのケーキで、タルトのような生地の上をグリーンの生クリームが覆っていた。女性ならばすぐにケーキの名前が分かるだろうが、不調法な私には、悲しいかなこの程度の説明しかできない。

まず、フォークの腹でケーキを下へと切っていくと、生クリーム、スポンジを経て、タルトのような固い生地に辿り着き、ちょっと力を入れてその部分を切りながら食べ進んでいった。残りが四分の一ぐらいになった時、量が少なくなり軽くなったせいなのかタルト生地の底にフォークを入れようとすると、ケーキが逃げていってしまう。そして、何度か試みる内にとうとう下に敷いてあった分厚い紙からはみ出してしまい、ケーキが倒れてしまった。と同時に生クリームが皿に付き、無残な姿になった。挙句の果ては、左のひとさし指で倒れたケーキの端を支えながら、ケーキの下にフォークを差し入れ食べなくてはなならかった。そして食べ終わった後の私の皿はというと、生クリームがべとべとに付き何とも汚らしい限りだ。一方お客様の皿をチラッと見ると、とてもきれいで、ただ底に敷いてあった紙だけが皿の中央に残っていた。

とにかく、いつもこんな具合なのだ。更に、お菓子を出していただいて、じっと食べるところを見ていられたりすると、余計に緊張をしてしまう。

ある時は、ビニールの袋に入ったお菓子を出された時、切り口を探すがどこにも見当たらない。そこで両端のジグザグの部分から切ろうとするが、このビニールが思いのほか分厚くてなかなか切れない。そこで力をこめたところ、一気にビニールが避けて、中からお菓子が飛び出してテーブルの下に落ちてしまったり、またある時は、出された一見普通の和菓子、黒モジを刺そうとすると、これが存外硬くて、いきなり黒モジが折れたかと思うと、お菓子が滑って勢いよく皿から飛び出してしまったり、またまたある時は、一口食べるごとに、どんどん表面に付いていたデコレーションが落ち、食べ終わった時には、見るのも悲しいほどに皿がかすだらけになってしまったりなど、失敗談は数え切れない。

だから、いつもお菓子を出されると、カステラのような昔から馴染みのあるお菓子や、お乾菓子だとか手でつまめるものはほっとするが、珍しいお菓子の場合には、食べる前にこのお菓子をいかにきれいに食べるか、まずもって攻略方法を考えてからでないと、うかつに手が出せない。しかしそんな攻略方法も、ほとんど成功した験しがない。そしてその失敗を次に生かそうとしても、次々とお目見えする新しく珍しいお菓子の前には、その学習効果はほとんど無力である。

だから、いつも自分のドンくささを恥じると共に、お菓子をきれいに食べられる人を尊敬してしまう昨今である。